栃木県知事 福田 富一 知事

地域包括ケアシステムを確立

超高齢社会に突入した日本、そして栃木県。
取り組まなければならない課題は数多くあります。
特に地域全体で高齢者を支える仕組みづくりが急がれます。
福田富一栃木県知事に本県の現状や今後の施策などを聞きました。

福田富一知事

本格的な超高齢化社会を迎えています。栃木県内の高齢化率などの状況について教えていただけますか。

 総務省によると、平成24年9月15日現在、65歳以上の高齢者人口は3074万人で、総人口に占める割合は24・1%と過去最高を記録しました。高齢化率が21%を超えると「超高齢社会」といわれ、日本は本格的な超高齢社会を迎えています。
 栃木県内では、平成23年10月時点の高齢者人口は、44万2426人。人口に占める割合は約22%で、全国と比べ若干、若いと言えます。生産年齢人口の占める割合も全国で8位、高齢者の就業率も11位と、この点からも比較的に若くて、元気のある県です。
 しかしながら本県においても、平成27年度には高齢化率が26%に、さらに、20年後には34%となる見込みです。
 県内の高齢者の単独世帯は平成22年に約5万3000世帯でしたが、平成42年には約1・8倍の約9万4000世帯になると予測されます。また、高齢者の夫婦のみ世帯数も、平成22年には約6万7000世帯でしたが、平成42年には約1・2倍の約88万2000世帯に増えると予測されています。
 認知症高齢者数も増加しています。平成24年8月の厚生労働省の推計では平成22年時点で全国の認知症高齢者は約280万人で、高齢者の約10人に1人と推計されています。今後も増加し、平成24年の305万人から、平成37年には約470万人になるとされています。県内では平成22年時点で約4万2000人、平成37年に約7万4000人になると見込まれます。

県では高齢者に対し、
どのような福祉施策に取り組んでおられますか。

 平成24年3月、栃木県高齢者支援計画「はつらつプラン21(五期計画)」を策定しました。目指すべき高齢社会の5つの姿を示し、その実現を基本目標としました。その基盤として、医療・介護・予防・住まい・生活支援サービスを切れ目なく提供する「地域包括ケアシステム」の実現を目指していきます。
 一つ目は、「健康に暮らせる社会」。生涯に渡り健康でいきいきと暮らせるよう、健康づくりに取り組みやすい環境整備、生活習慣病に対する正しい理解の普及と健診受診の促進、見守りネットワークづくり等による高齢者の自殺予防、介護予防の重要性に関する理解を深めるための普及・啓発、一次および二次介護予防事業や、新しく追加された介護予防・日常生活支援総合事業の活用促進などに取り組みます。
 二つ目は、「生きがいを持てる社会」。高齢者を豊かな知識と経験を有し地域社会を支える大切な存在と位置付け、老人クラブの活動支援、平成26年度に本県で開催する「第27回全国健康福祉祭(ねんりんピック栃木2014)」を契機とした高齢者の健康や生きがいづくりの促進、シルバー人材センター活動の支援等による働く場の確保、シルバー大学校等における学習機会の提供などを推進していきます。
 三つ目は、「自立して暮らせる社会」。高齢者一人ひとりの能力や生活環境に応じ、自立を支援する介護サービスなどを確保する為、在宅サービスの充実、新たに追加となった「定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービス」や「複合型サービス」を含めた地域密着型サービスの確保、特別養護老人ホームや認知症グループホーム等の施設・居住系サービスの基盤整備、サービス付き高齢者向け住宅等を含めた安心して暮らせる住まいの確保などを進めていきます。
 また、医療と介護の連携の推進、介護を支える人材の養成確保、介護サービスの質の向上、低所得利用者のサービス費など被保険者の経済的負担軽減にも取り組みます。
 四つ目は、「自分らしく生きられる社会」。高齢者の尊厳の保持に関する地域住民の理解が進むこと、認知症に関する知識の普及や差別の撤廃、権利擁護の仕組みの確立に向け、認知症に関する正しい理解の促進と家族への支援、医療機関と介護・福祉機関の連携による認知症への適切な対応、認知症ケアの質の向上等による総合的な認知症対策の推進、高齢者虐待防止対策や「日常生活自立支援事業」等の権利擁護事業を進めます。
 五つ目は、「住み慣れた地域で暮らせる社会」。地域住民が支え合う仕組みを構築するため、配食・買物支援などの生活支援サービスの確保、地域住民等の見守り活動や居場所づくりなどの支え合いの取組の促進、関係団体の連携による地域ネットワーク構築の促進、地域包括支援センター活動の支援などを推進します。

高齢者(=65歳以上の方)人口の推移【栃木県】


各分野の協力体制が重要ですね。

 郵便局や宅配業者など関係各団体の協力を得て、社会的弱者を地域で見守る「とちまる見守りネット」が全市町に構築されたほか、高齢者の「見守りネットワーク」も着実に広がっています。 また、平成22年度の「県政世論調査」によると、県民の約6割は介護が必要になっても、病気になっても、自宅などの住み慣れた環境で療養生活を送りたいと願っています。
 一方でその約7割が実現は難しいとしています。
 また、平成23年度に県で実施した、「在宅医療実態調査」では、人口10万人あたりの在宅療養支援診療所や訪問看護ステーションの数が、全国でも低い水準にあります。
 訪問看護ステーションは、拠点となるコールセンターを設けて訪問看護事業者からの相談等に応じるなど、業務の効率化を支援すると共に、設備整備補助金による新規開設の支援を行っています。平成24年度は9月までに6件のステーションが新規開設されました。
 また、在宅療養患者に24時間体制での医療・介護サービスを提供するには、さまざまな職種の連携が必要です。このため、平成25年度から、在宅医療に関する相談支援、情報提供、普及啓発等の機能を担う「在宅医療推進支援センター」を各広域健康福祉センターに設置します。
 併せて、訪問看護師や医師、歯科医師、薬剤師、ケアマネジャー、訪問介護員など在宅医療に携わるマンパワーの確保に努めます。
 地域包括支援センターが、高齢者支援の中核的機関として地域の社会資源の利活用をコーディネートしていくことも重要です。

これから力を入れたいことはどのようなことですか。

 まず、健康寿命を延ばすことです。県では「とちぎ健康21プラン」に基づき健康づくりを進めてきました。健康寿命では、女性が5位、男性が17位と男女とも比較的全国で上位となりましたが心疾患と脳血管疾患で亡くなる人の割合がワースト上位に位置する上、平均寿命も全国低位に甘んじています。
 現在策定中の次期健康増進計画では「健康寿命の延伸」と「健康格差の縮小」を基本目標に、県民の生活習慣の改善や心身機能の維持向上、健康を支える社会環境の整備などを重点に推進します。健康づくりの基本理念や、県民・事業者・行政等の責務を明らかにし、多様な主体の連携・協働による健康づくり県民運動の展開のあり方などを盛り込んだ「健康づくり推進条例(仮称)」を制定したいと考えています。
 具体的には、事業者による従業員の健康増進のための自主的な活動、食品加工などで「健康」を切り口とした製品・サービスの開発、ウオーキング等の身体活動を実践しやすくする環境づくりなど、「健康長寿“とちぎ”」の創造を目指して、オール栃木体制で進めていければと思います。


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