福祉講座(八)高齢者施設の機関

高齢者向け生活施設の最新事情

法律で定義された高齢者向けの住居施設は
「有料老人ホーム」と「老人福祉施設」に大別されます。
それらの概要のほか「高齢者向け住宅」など新サービスを交え
シルバー世代の住まいの最新事情を紹介します。

老人ホームには
民間と公的機関の2種類がある。
笑顔の毎日を送るには施設選びが大切

 老人ホームは、地方自治体から認可を受けた民間企業等が運営する「有料老人ホーム」と、地方自治体や社会福祉法人といった公的機関が運営する「公的老人ホーム」に分けられます。
 医療法人や株式会社、NPO法人等の民間企業が運営する「有料老人ホーム」は、老人福祉法に定められた高齢者向けの生活施設のうち、老人福祉施設でないものを指します。この有料老人ホームは提供されるサービスの違いにより、「健康型・住宅型・介護付」の3種類に分けられます。
 一方、公的機関が運営するものには「養護老人ホーム」、「特別養護老人ホーム」、「軽費老人ホーム」があり、これらは老人福祉法に定められた老人福祉施設にあたります。老人福祉施設にはこのほかにも、老人デイサービスセンター、老人短期入所施設などがあります。
 ちなみに、これらの高齢者向けの生活施設は、リハビリや認知症ケアなどを目的とした施設、軽度介護さらには重度介護を目的とした施設などいくつかの種類に分けることができます。
 高齢者にとって生活の場となる各施設は、将来的なことも視野に入れつつ、身体や精神の状態に合った適切な施設を選ぶ必要があり、また、それぞれに入所要件や手続きが異なるので注意が必要です。
 以下、「高齢者の住まい」という視点で、民間と公的機関に分けて、主な高齢者向けの生活施設を紹介します。

Part01 民間が運営する住まい

 一、有料老人ホーム
 地方自治体から認可を受けた株式会社、医療法人などの民間事業者が運営している施設で、入所する高齢者に対して食事の提供、その他の日常生活(入浴や排せつなど)に必要な便宜を供与することを目的としています。
 国からの補助がないので公的老人ホームと比べると費用はかかりますが、平成17年の介護保険法の一部改正によって、特別養護老人ホームの居住費と食費が全額自己負担となり、これにより公的施設との費用格差が縮小されました。
 また、最近は入居費用の低価格化を打ち出す施設が増加傾向にあります。居住空間へのこだわりや共用設備面の充実度を加味すると、多くの高齢者にとって利用しやすい環境が整備され、施設選びの候補の一つとして注目を集めています。
 高齢者の住まいの代名詞として日々進化する有料老人ホームは、介護サービスの提供方法により以下の3種類に分類できます。
健康型有料老人ホーム
 介護の必要がない、自立した生活者だけを入居対象としたホームです。「高齢で一人暮らしに不安を感じる」「同年代の高齢者と楽しいシルバーライフを送りたい」などが主な入居理由とされています。
 食事などのサービスが付くほか、介護付有料老人ホームと比べて費用は格段に安いのが魅力。ただし、介護が必要となった場合は契約を解除して退居しなければなりませんが、施設によっては業務提携している介護付有料老人ホームへ転居できる場合もあります。
住宅型有料老人ホーム
 食事や生活支援等のサービスがついた高齢者向けの居住施設を指します。
 介護付有料老人ホームとは違って、「特定施設入居者生活介護」を受けていないため、原則として施設スタッフが介護サービスを提供することはありません。
 しかし、もし介護が必要になった場合には、訪問介護・訪問看護や通所介護など居宅サービスの対象となり、外部の介護事業者と別途契約をして介護その他のサービスを受けることができます。
 介護保険の適用は、訪問介護、訪問看護などの居宅サービスで、サービス利用が区分支給限度額を超えた場合、差額分は全額自己負担となります。
介護付有料老人ホーム
 栃木県から「特定施設入居者生活介護」に指定された高齢者向け居住施設を指します。
 つねに介護スタッフが常駐し、ケアマネジャーの介護サービス計画に沿って、食事・入浴・排せつなどの身体介護や、掃除・洗濯などの生活援助をはじめ、健康相談やリハビリテーション、レクリエーションなどの各種サービスを提供します。
 ちなみに、介護が必要ない状況で施設に入居し、その後介護が必要になった場合は、事前のケアプラン等を行うことなく介護サービスが受けられます。利用者本人や家族にとって安心感の高い施設といえます。
二、高齢者向け住宅
 いわゆる「高齢者向け住宅」とは、高齢者向けに販売または賃貸されている住居施設のうち、有料老人ホームなど特定の名称に定義・分類されていない住居施設の総称です。高齢者を対象とした集合住宅「シニア向けマンション」などもその一つ。あくまでも一般住宅であり、介護施設ではありません。
 平成23年、「高齢者住まい法」の改正により新たに創設された「サービス付き高齢者向け住宅」は、一定の要件を満たした都道府県登録の住宅で、今後、高齢者向け住宅の主流になると注目されています。
サービス付き高齢者向け住宅
 高齢者単身・夫婦世帯が入居対象。高齢者の居住の安定を確保することを目的に、高齢者向け賃貸住宅または有料老人ホームにおいてサービスが提供されます。建物はバリアフリー構造で設計され、入居者に対してはケア専門家による見守りサービス(安否確認・生活相談)を提供します。
 ちなみに、この制度のスタートによって、これまでの「高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)」「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」「高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)」の各制度は廃止されました。

民間が運営する主な高齢者の住まい


有料老人ホームで受けられる各種サービス


Part02 公的機関が運営する住まい
安心して暮らせる環境

 一、公的老人ホーム
 地方自治体や社会福祉法人といった公的機関が運営する公的老人ホームには、以下の3種類があります。
養護老人ホーム
 おおむね65歳以上で、心身上の障害および低所得などの経済的理由から家庭での養護が困難と認められた人を対象とした入所型老人福祉施設です。
 「経済的理由」とは、本人の属する世帯が生活保護を受けているか、市町村民税の所得割を課されていない場合等を意味します。
 特別養護老人ホームより利用料は低額で、入所の際には「低所得」であることが条件に付け加えられています。
特別養護老人ホーム(特養)
 一般に「特養」と呼ばれ、65歳以上の高齢者で要介護度1〜5に認定された人、および40歳〜64歳で、初老期の認知症、脳血管疾患などの病気(特定疾病)が原因で介護が必要となった人で、家庭において介護を受けることが困難な場合に入所できます。
 施設介護サービス計画に基づいて入浴・排せつ・食事等の介護、日常生活上の世話、機能訓練、健康管理および療養上の世話を行います。
軽費老人ホーム
 60歳以上の高齢者で、家庭環境や住宅事情等の理由で居宅における生活が困難な人が低額で利用できる老人福祉施設です。夫婦で入所する場合はどちらかが60歳以上であることが条件となります。直接契約して入所が決められる施設で、本人の健康状態、資産や所得等によって以下の3つに分けられます。
(1)A型(給食)
 収入が少なく(利用者の生活に充てることのできる資産・所得・仕送り等が利用料の2倍程度以下)、身寄りがないか家庭の事情などで家族との同居が困難な人が対象。
(2)B型(自炊)
 家庭環境、住宅事情などにより居宅において生活することが困難な人が対象。ただし、自炊できる程度の健康状態であることが条件。
(3)ケアハウス
 自炊ができない程度の身体機能の低下があるか、高齢のため独立して生活するには不安があり、家族による援助
を受けるのが困難な60歳以上の人が対象。自立して生活できるよう環境設備が配慮されている。また、A型と同様に利用者の生活に充てることのできる資産・所得・仕送り等が利用料の2倍程度以下であることが条件。

色々なサービスがつく高齢者施設

二、介護保険施設
 介護保険施設は「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」の3種類あり、要介護認定を受けた高齢者を支援していく施設です。比較的病状が安定し、入院や治療などは必要ないけれど、リハビリや介護といったケアサービスが必要という方が入居できます。
介護老人保健施設(老健)
 65歳以上の要介護認定者(要介護1以上)で、病状が安定し、リハビリテーションに重点を置いた医療ケアと介護が必要な方が入所する医療施設です。
介護療養型医療施設
 65歳以上の要介護認定者で、病状が安定し、継続的に医療サービスを受けながら長期療養が必要な方が入所する医療施設です。この施設は年々減少傾向にあり、平成29年には廃止される予定です。

高齢者施設での医療ケア

三、老人福祉施設
老人デイサービスセンター(通所介護事業所)
 65歳以上で、身体上または精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障がある場合や、介護保険法の規定による通所介護サービスを利用するとき、通いや送迎によって入浴・食事の提供・機能訓練・レクリエーション・介護方法の指導などの便宜を提供するための施設。ほとんどの施設が特別要介護老人ホームなどに併設されます。
老人短期入所施設
 介護者の疾病やその他の理由(冠婚葬祭、旅行など)により、居住している自宅において介護を受けることが一時的に困難となった高齢者に対して、短期間入所させ、養護することを目的とする施設です。

高齢者施設で快適な生活

四、その他の施設
グループホーム(認知症老人共同生活介護)
 認知症の高齢者が家庭的な雰囲気の
中で、5〜9人を1ユニットとした少人数で共同生活を送るグループホームは、介護サービスを受けながら個々人の能力を生かし、互いに助け合いながら暮らす施設です。
シルバーハウジング(高齢者用公営住宅)
 高齢者世帯が、より安全かつ快適な生活を営むことができるように、在宅生活を支援することを目的とした住宅で、満60歳以上の単身、夫婦、2名の親族による世帯が入居対象です。
 ライフサポートアドバイザー(LSA)が入居者の生活支援をするほか、万が一の場合、消防署等へ自動的に連絡される緊急通報システムを完備しています。

公的機関が運営する主な高齢者の住まい

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